
全経簿記上級を勉強中の皆様、こんにちは!
今回は「ソフトウェア」の勉強方法をご紹介したいと思います。
公式を覚えていれば簡単に解けるテーマなので、サクっと覚えてしまいましょう!
目次
ソフトウェアとは
ソフトウェアとはコンピュータを機能させるように指令を組み合わせて表現したプログラム及びこれに関連する文書をいう
「文部科学省 ソフトウェアに関する会計処理について(通知)より引用 http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/08100911.htm」
この文言は特に覚える必要はございません。
ソフトウェアというものが何なのか理解できればオーケーです!
ソフトウェアで使用する勘定科目
研究開発費(P/L販売費及び一般管理費)
ソフトウェア(B/S無形固定資産)
ソフトウェア償却(P/L販売費及び一般管理費)
たったの3つだけ覚えれば良いので、非常に簡単です!
受注制作のソフトウェア
受注制作の会計処理は、請負工事の会計処理に準じて処理します。
つまりは工事契約と同じ処理になります。
工事契約(請負工事の会計処理)に関してはこちら↓の記事をご覧下さい。

市場販売目的のソフトウェア
市場販売目的のソフトウェアは、製品マスター完成までと製品マスター完成後で勘定科目が変わります。
製品マスターって馴染みのない言葉ですよね?
分かりやすく言うと、ミュージシャンの方が最初に声を吹き込んで作成したCDが似たようなものになります。
このCDを複製して販売していくわけですが、大もとになるこのCDが製品マスターと呼ばれるものになります。
製品マスター完成までの費用は、研究開発費として処理します。
製品マスター完成後の費用は以下の通りに分類されます。
・製品マスターを改良・強化する場合で(購入ソフトウェアも同様)かつ、著しい改良に該当する場合は、研究開発費として処理します。
・製品マスターを改良・強化する場合で(購入ソフトウェアも同様)かつ、上記以外の改良に該当する場合は、無形固定資産として処理します。
・バグ取りなどの機能維持の費用は、発生時の費用として処理します。
特に問われるのが、ソフトウェアの費用が研究開発費なのか無形固定資産なのかという点です。
この3点の処理方法はしっかりと頭に入れておきましょう。
自社利用目的のソフトウェア
自社利用目的のソフトウェアは、将来の収益獲得または費用削減が確実であることが認められるか否かで勘定科目が変わります。
将来の収益獲得または費用削減が確実であることが認められる場合には、無形固定資産として処理します。
将来の収益獲得または費用削減が確実であることが認められない場合には、費用処理されます。
全経簿記上級では、仕訳問題として問われることはありますが、理論問題ではあまり問われたことがありません。
厳密に申し上げると、もう少し細分化された上で処理されますが、全経簿記上級で問われることが少ないので、ここでは割愛させていただきます。
ソフトウェアの算定方法
全経簿記上級では、無形固定資産に計上したソフトウェアを償却する問題がよく出題されます。
ソフトウェアの利用目的によって解き方が異なりますので、注意しましょう。
市場販売目的の場合
市場販売目的のソフトウェアは、見込販売数量又は見込販売収益により償却します。
また、残存有効期間にもとづく均等配分額を下回ってはならないこと、そして見込販売数量(見込販売収益)と残存有効期間にもとづく均等配分額を比較して大きい方の償却額を採用しなければならないというルールがあります。
見込販売数量は「当期の未償却残高×当期の実績販売数量÷当期首の見込販売数量」で算定します。
残存有効期間にもとづく均等配分額は「当期首の未償却残高÷当期首の残存有効期間」で算定します。
資料
1年度期首に市場販売目的のソフトウェア制作費として、30,000円を無形固定資産として計上。
見込有効期間は3年。
見込販売数量 1年度1,500個 2年度750個 3年度300個
実績販売数量 1年度600個 2年度300個 3年度275個
仕訳
1年度期首の仕訳 ソフトウェア30,000/現金30,000
1年度期末の仕訳 ソフトウェア償却12,000/ソフトウェア12,000
見込販売数量 600÷1,500=0.4 0.4×30,000=12,000
均等配分額 30,000÷3=10,000
12,000>10,000なので見込販売数量による償却額を採用
2年度期末の仕訳 ソフトウェア償却10,000/ソフトウェア10,000
見込販売数量 300÷750=0.4 0.4×20,000=8,000
均等配分額 20,000÷2=10,000
8,000<10,000なので均等配分額による償却額を採用
3年度期末の仕訳 ソフトウェア償却8,000/ソフトウェア8,000
30,000-12,000-10,000=8,000
最終年度なので未償却残高を償却します。
以上が市場販売目的の償却方法になります。
自社利用目的の場合
自社利用目的のソフトウェアは、原則として定額法によって償却します。
利用可能期間は原則として5年以内となっております。
資料
1年度期首に自社利用目的のソフトウェアを10,000円現金で購入。
利用可能期間は5年。定額法により処理。
仕訳
1年度期首の仕訳 ソフトウェア10,000/現金10,000
1年度期末の仕訳 ソフトウェア償却2,000/ソフトウェア2,000
10,000÷5=2,000
至ってシンプルな仕訳です。
特に間違えやすいところもないと思われます。
主な出題形式のポイント
理論問題のポイント
①目的別の会計処理が問われます。
ソフトウェアの理論問題ではまず、利用目的を確認しましょう。
目的によって会計処理が異なる点について訪ねてくることが多いです。
②見込販売数量
無形固定資産として計上したソフトウェアは、見込販売数量に基づく償却方法その他合理的な方法により償却しなければなりません。
よく問われる内容なのでこのまま覚えておきましょう。
③研究開発費について
特定の研究開発目的のみに使用され、他の目的に使用できない機械装置や特許権等を取得した場合の原価は取得時の研究開発費とする
「企業会計基準委員会 公益財団法人 財務会計基準機構 企業会計基準より引用 https://www.asb.or.jp/asb/asb_j/documents/accounting_standards/21_30.shtml」
こちらは会計学で頻出の内容になるので、必ず覚えてください。
計算問題のポイント
①見込販売数量と見込販売収益
教科書をよく見ると、ソフトウェアの償却額を求める方法が、見込販売数量と見込販売収益の2つ記載されております。
しかし実際に出題されているのは見込販売数量によるものがほとんどです。
万が一見込販売収益による問題が出題されても、解き方は同じなので焦らないようにしましょう。
②見込販売数量と均等配分額の2年度目の処理
間違えやすいのが、2年度目の処理です。
ソフトウェアの計上されている金額が、1年度よりも減っていることに注目してください。
必ず当期首の未償却残高を基準に考えましょう。
まとめ
見込販売数量の計算は慣れてしまえば、非常に簡単です。
どちらかと言えば理論で出題された方が苦戦するかもしれません。
何度も申し上げますが、目的別の会計処理をしっかりと覚えておきましょう。
その時点でつまずくと、問題への挑戦権を得られません。
目的別の会計処理が頭の中にパッと浮かんでこない方は、勉強不足だと思っていただいた方がよいでしょう。
難しいテーマではないので、そこまで反復して練習する必要もありませんが、試験では簡単なテーマを落とすことはそのまま不合格に繋がってしまいます。
覚える量も多くないので、余裕がない方は試験直前でも構わないので見直しておくことをオススメします。