全経上級

【全経上級】工事契約は忘れた頃にやってくる!簡単なので覚えておこう

全経簿記上級を勉強中の皆様、こんにちは!

今回は「工事契約」の勉強方法をご紹介したいと思います。

タイトル通り、出題頻度は多くないものの、忘れた頃に出題されてしまうことがあるのが工事契約というテーマです。

工事契約の問題が出題された場合には、ほとんどの方が正解すると思われるので、しっかりと学習しておきましょう。

工事契約とは

工事契約とは請負契約です。

簡単に言ってしまうと、対価を支払うから建物を建ててくださいねという契約のことを指します。

建設業以外の工事契約もありますが、全経簿記上級の場合には建設業の工事契約だと思っていただいて大丈夫だと思われます。

工事契約で使用する勘定科目

全経簿記上級の工事契約で使用される勘定科目は以下の通りです。

【損益計算書】

工事収益(売上高)・工事原価(売上原価)・工事利益(売上総利益)

【貸借対照表】

未成工事支出金(仕掛品)・工事未収入金(売掛金)・未成工事受入金(前受金)

特段難しい勘定科目は存在しません。

今まで使用していた勘定科目の名前が工事契約用のものになります。

原価比例法

原価比例法とは、決算日までに実施した工事に関して発生した工事原価が工事原価総額に占める割合をもって決算日における工事進捗度とする方法である。

「企業会計基準委員会 公益財団法人 財務会計基準機構 企業会計基準第15号及び企業会計基準適用指針第18号より引用 https://www.asb.or.jp/asb/asb_j/documents/docs/kouji-keiyaku/」

決算日における工事進捗度は、原則として原価比例法により見積ります

そしてこの工事進捗度に応じて工事収益を計算します。

原価比例法以外の方法で、より合理的に工事進捗度見積ることができる場合には、その方法を用いることが出来ます。

全経簿記上級の場合には、計算問題は原価比例法で問われると思っていただいて大丈夫です!

ただし理論の面では、原価比例法以外の方法も使用することができることを覚えておきましょう。

工事進行基準

工事進行基準とは、工事契約に関して、工事収益総額、工事原価総額および決算日における工事進捗度を合理的に見積り、これに応じて当期の工事収益および工事原価を認識する方法である。

「企業会計基準委員会 公益財団法人 財務会計基準機構 企業会計基準第15号及び企業会計基準適用指針第18号より引用 https://www.asb.or.jp/asb/asb_j/documents/docs/kouji-keiyaku/」

こちらは理論問題で頻出の内容になるので、必ず覚えておきましょう

計算問題でも工事進行基準の出題が多く出題されております。

工事完成基準

工事完成基準とは、工事契約に関して、工事が完成し、目的物の引渡しを行った時点で、工事収益および工事原価を認識する方法である。

「企業会計基準委員会 公益財団法人 財務会計基準機構 企業会計基準第15号及び企業会計基準適用指針第18号より引用 https://www.asb.or.jp/asb/asb_j/documents/docs/kouji-keiyaku/」

工事進行基準と比べると出題頻度はグッと下がりますが、工事進行基準とセットで覚えておきましょう。

問われる内容も比較的簡単なものが多いです。

工事契約の算定方法

工事進行基準の場合

資料

・工事期間3年(1年度着工、3年度引渡し)

・工事収益総額90,000円

・各期の発生工事原価

1年度10,000円 2年度30,000円 3年度20,000円

・工事原価総額の見積り

1年度80,000円 2年度80,000円

・入金額

1年度10,000円 2年度50,000円 3年度20,000円

 

上記の資料をもとに下記の表を作成していきましょう。

【損益計算書項目】

1年度 2年度 3年度
工事収益
工事原価
工事利益

【貸借対照表項目】

1年度 2年度 3年度
未成工事支出金
工事未収入金
未成工事受入金

 

まずは損益計算書項目の欄を埋めましょう。

 

1年度目の工事収益の計算方法 

1年度発生工事原価÷1年度工事原価総額の見積り=1年度目の工事進捗度

10,000÷80,000=0.125

工事収益総額×1年度目の工事進捗度=1年度目の工事収益

90,000×0.125=11,250

 

2年度目の工事収益の計算方法

1年度+2年度発生工事原価÷2年度工事原価総額の見積り=2年度目の工事進捗度

(10,000+30,000)÷80,000=0.5

工事収益総額×2年度目の工事進捗度=2年度目の工事収益

 

3年度目の工事収益の計算方法

工事収益総額-1年度目+2年度目の工事収益=3年度目の工事収益

90,000-(11,250+33,750)=45,000

 

次に工事原価の欄を埋めます。

工事原価は各期の発生工事原価をそのまま記入します

 

最後に工事利益の欄を埋めます。

工事利益は各年度の工事収益-工事原価で求めることができます

 

以上のとおり計算すると、このように表を埋めることができます。

【損益計算書項目】

1年度 2年度 3年度
工事収益 11,250 33,750 45,000
工事原価 10,000 30,000 20,000
工事利益 1,250 3,750 25,000

 

次に貸借対照表項目の欄を埋めましょう。

 

まずは未成工事支出金の欄を埋めます。

工事進行基準では未成工事支出金は全て0になります

 

次に工事未収入金と未成工事受入金の欄を埋めます。

工事進行基準の場合には「工事収益の累計額-入金の累計額

=(+)借方残高の場合:工事未収入金

=(-)貸方残高の場合:未成工事受入金

単純に答えが正の値なら工事未収入金、負の値なら未成工事受入金の欄に記入します。

 

以上のとおり計算すると、このように表を埋めることができます。

【貸借対照表項目】

1年度 2年度 3年度
未成工事支出金 0 0 0
工事未収入金 1,250 0 10,000
未成工事受入金 0 5,000  0

 

工事完成基準の場合

・工事期間3年(1年度着工、3年度引渡し)

・工事収益総額90,000円

・各期の発生工事原価

1年度10,000円 2年度30,000円 3年度20,000円

・工事原価総額の見積り

1年度80,000円 2年度80,000円

・入金額

1年度10,000円 2年度50,000円 3年度20,000円

 

上記の資料をもとに下記の表を作成していきましょう。

【損益計算書項目】

1年度 2年度 3年度
工事収益
工事原価
工事利益

【貸借対照表項目】

1年度 2年度 3年度
未成工事支出金
工事未収入金
未成工事受入金

 

まずは損益計算書項目の欄を埋めましょう。

 

最初に1年度、2年度目の欄を埋めましょう

工事完成基準の場合には1年度、2年度目の欄は全て0になります

 

次に3年度目の欄を埋めましょう。

工事収益総額がそのまま3年度目の工事収益になります。

同様に各期の発生工事原価の合計が3年度目の工事原価になります。

工事利益は工事収益と工事原価の差し引きにより算定します。

以上のとおり計算すると、このように表を埋めることができます。

【損益計算書項目】

1年度 2年度 3年度
工事収益  0  0 90,000
工事原価  0  0  60,000
工事利益  0 0  30,000

 

続いて貸借対照表項目の欄を埋めましょう。

 

まずは未成工事支出金の欄を埋めましょう。

1年度目の未成工事支出金の計算方法

1年度目の未成工事支出金は、1年度目の発生工事原価の値です

 

2年度目の未成工事支出金の計算方法

2年度目の未成工事支出金は、1年度目と2年度目の発生工事原価の合計の値です

 

3年度目の未成工事支出金の計算方法

3年度目の未成工事支出金は、0になります

これは3年度目に建物が完成しているからです。

 

次に工事未収入金の欄を埋めましょう。

最初に1年度目と2年度目の欄を埋めます。

1年度目と2年度目の欄は0になります

 

3年度目の工事未収入金の計算方法

工事収益総額-入金の累計額で計算することができます

 

最後に未成工事受入金の欄を埋めましょう。

 

1年度目の未成工事受入金の計算方法

1年度目の未成工事受入金は、1年度目の入金額の値になります

 

2年度目の未成工事受入金の計算方法

2年度目の未成工事受入金は、1年度目と2年度目の入金額の合計の値になります

 

3年度目の未成工事受入金の計算方法

3年度目の未成工事受入金は0になります

 

以上のとおり計算すると、このように表を埋めることができます。

1年度 2年度 3年度
未成工事支出金  10,000 30,000 0
工事未収入金  0 0  10,000
未成工事受入金  10,000 60,000  0

 

工事損失引当金

工事損失引当金は、工事利益がマイナスになる場合に計上します。

工事契約の計算問題が出た場合には、セットで出題されることが多いです。

1年度 2年度 3年度
工事収益 11,250 25,000 45,000
工事原価 10,000 30,000 20,000
工事利益 1,250 △5,000 25,000

このような場合の2年度に、工事損失引当金を設定します。

条件:工事原価総額>工事収益総額

計算方法:(工事原価総額-工事収益総額)+1年度の工事利益-2年度の工事損失=工事損失引当金

工事原価総額が80,000円、工事収益総額が70,000円の時の工事損失引当金を計算してみましょう。

(80,000-70,000)+1,250-5,000=6,250

2年度の工事原価に6,250円の工事損失引当金を加算します。

また、3年度(建物完成年度)に工事損失が確定するため、工事損失引当金の戻入を行います。

3年度の工事原価から6,250円の工事損失引当金を減算します。

1年度 2年度 3年度
工事収益 11,250 25,000 45,000
工事原価 10,000 36,250 13,750
工事利益 1,250 △11,250 31,250

これで工事損失引当金を計上することができました!

主な出題形式のポイント

理論問題のポイント

工事契約の理論は頻出問題

計算問題は10回に1回ぐらいの確率でしか出題されておりませんが、理論では2~3回に1度は出題されております。

基本的に会計基準の丸暗記で対応できますので、必ず暗記しておきましょう。

計算問題のポイント

資料をよく確認して工事進捗度の計算を間違えないようにしよう

各期の発生工事原価なのか、完成するまでに必要な工事原価なのか、工事原価の累計額なのかをよく確認しましょう。

資料を読み間違えると、誤った工事進捗度が出てしまうので気をつけましょう。

まとめ

冒頭でも申し上げましたが、多くの人が点を取れるテーマなので、確実に点を取れるようにしっかりと学習しておきましょう。

特段難しい点はありませんが、筆者はよく計算問題の資料を読み間違えておりました

問題に慣れるために、何度か繰り返し問題を解いておきましょう。

また、工事契約の仕訳に関しては過去問15年分を振り返ってみても出題されておりませんので、現段階では覚える必要はなさそうです。

簡単なので、余裕がある人だけ覚えておきましょう。